重要知識

第6章.重要知識


<目次>

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・投資の世界にはびこる誤解

書籍やSNSで散見されるミスリード

 

・金利が生む市場サイクル

金利動向を追いかけることの重要性

 

・相場の歴史

過去の生データは最も客観的な知見



投資の世界にはびこる誤解


 

 

「『私が好きな投資期間は永遠だ』との名言を残したウォーレン・バフェットの株式保有期間は、平均4年半しかない」

 

 

「バフェットは、約3割の株式を取得後1年未満で売却する」★

 

 

「バフェットが10年以上ホールドする株式は、全保有銘柄の10%程度にとどまる」

 

 

「バフェットが20年以上、まともに保有できた銘柄は、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレス、ムーディーズの3銘柄しかない」

#長期保有で知られるP&Gは99%、ウェルズ・ファーゴは90%を売却済。

 

 

「バフェットに学ぶなら、超長期で保有する銘柄は、生活必需品や金融セクターの高収益企業が良い」★

 

 

「バフェットの投資は、あくまでアクティブ運用であり、その本質は、短期~長期投資をバランスよくこなすことにある」

 

 

「投資の神様と言われるバフェットは、優良株を安値で一挙に仕入れる投機の神様でもある」

 

 

「『資産の90%をS&P500に投資せよ』というバフェットのアドバイスは、アメリカに住む彼の妻への遺言であり、日本で生活する我々に発したメッセージではない」

#バフェットは個人投資家に対して、個別株投資の有効性を度々語っています。

 

 

「偉大な投資家の言葉の真意を理解せず、勝手な解釈をして自分の信念体系に組み入れてはならない」

 

 

「『稲妻が輝く瞬間』を逃すとリターンが激減すると考える人は、恐ろしい雷が落ちるリスクを考慮できていない」

#『稲妻が輝く瞬間』とは、書籍『敗者のゲーム』などに見られる表現で、相場が大きく上昇する日を指します。

 

 

「相場のベストな上昇日だけを何日か機械的に排除してリターンを計算すれば、利益率が激減するのは当たり前の話である」

#逆に、相場のワーストな下落日だけを何日か排除してリターンを計算すれば、相場には一日も参加しないほうがいいという結論が導き出されるはずです。

 

 

「長期投資を中断すると、相場のベストな上昇日を逃すが、ワーストな下落日を確実に回避できる」

 

 

「ドルコスト平均法は、安値で株数を多く、高値で株数を少なく仕込むことで、平均取得単価を効率的に下げることができる」

 

 

「ドルコスト平均法は、下げ相場でその真価を発揮するナンピン手法であり、最初の買値まで戻らなくても利益が出る点に強みがある」

#一部のSNSでは、ドルコスト平均法は上昇相場でないと上手く機能しない、との誤った認識が散見されます。

 

 

「相場が長期的に右肩上がりの場合は、一括投資が最もリターンが高くなる」

 

 

「投資のリターンは、投資期間が長くなるほど増えるとは限らず、20年続けるより、10年でやめたほうがリターンが高くなるケースは多々ある」

 

 

「『時間を味方につける投資』という文言の真意は、長期目線で相場を眺めればよいという意味であって、投資を早く始めたり、長く続ければ得をするという意味ではない」

 

 

「長期的に株を買わないことも、長期投資の立派な戦略のひとつだ」★

 

 



金利が生む市場サイクル


 

 

「金利と株価はシーソーの関係にあり、金利が上昇すると、高PER・高PBRの割高株が真っ先に売り込まれる」

 

 

「世界に流通する通貨の半分以上はドルであり、アメリカの中央銀行FRBの金融政策の転換は、世界的な株式相場のトレンド転換を意味する」

 

 

「長期投資のプランを上手く設計するためには、金利変動に伴う相場サイクルについて学ぶ必要がある」

 

 

「中央銀行の金融緩和によって金利が低下すると、長期固定金利レートが低下し、企業の借り入れや設備投資が進んで景気が好転する」

 

 

「低金利へ向かう利下げ局面は、暴落相場になりやすい」

#FRBに大幅な利下げを要求するために、株式市場が暴落を演出することがあります。「その程度の利下げでは景気を回復するには足りない」という投資家達からのメッセージです。これを催促相場と言います。

 

 

「低金利下の金融相場では、膨大に余った資金が株式市場に流入するから、大きなリターンを期待できる」

 

 

「金融相場の終盤で投資ブームが到来すると、強気な相場予測やレバレッジ関連の話題が人気を集める」

 

 

「金融緩和で景気が拡大すると、業績が好転しそうな優良銘柄が積極的に買われ、相場を牽引する」

 

 

「インデックス投資の出口戦略としては、皆が浮かれる金融相場の終盤~業績相場での売却を意識すると優位性が高まる」★

 

 

「金利が上昇すると、グロース株が積極的に売られ、財務が健全なバリュー株や債券へ資金が移動する」

 

 

「利上げは、過大評価された割高株を、適正な株価に調整する」

 

 

「バリュー株は、エネルギーや金融関連の銘柄が多く、インフレや金利上昇に強い」★

 

 

「業績相場から逆金融相場へ移行する局面は、投資戦術の転換を迫られる時期であり、多くの投資家達がここで散る」

 

 

「高金利下の相場では守りの投資を意識し、大きな買い場に備えて現金を温存しなければならない」

 

 

「積立投資は、相場サイクルの終盤でも資金枯渇の心配がないから、一定の投資効率を維持できる」

 

 

「金融相場と業績相場の間の『中間反落』、逆金融相場と逆業績相場の間の『中間反騰』は、長期のトレンドと逆行する短中期のトレンドとして注意を要する」

 

 

「米国が本格的な景気後退に突入する瞬間は、決まって失業率が急上昇する」

 

 

「米金利のピークアウト等で円高が続く局面では、日本円をただ保有するだけでも良い投資になる」

 

 

「投資成果を実感しにくい株安・円高局面こそ、自分の投資スタイルを点検・改善する好機になる」

 

 

「相場サイクルの周期が数年程度とすれば、市場で生き残り続けるだけで、何度でも良い潮目に巡り合える」

 

 

「金利の上昇に伴い、先進国の大型株が上昇するパワーを失うと、投資家達の注目は新興国や小型株へシフトする」

 

 

「景気縮小の局面では、多くの銘柄に気軽に手を出さず、勝負する銘柄を徹底的に絞り込む必要がある」

 

 



相場の歴史


 

 

「相場の歴史を学んだり過去検証を行うことは、最も効率的に取引の優位性を発見する手段である」

 

 

「相場で今日起きたことは、明日以降のいつか、再び起きる」

 

 

「S&P500は、歴史上100%の確率で高値を更新し続けてきたから、どんな時も積立をためらう必要がない」★

 

 

「1980~2019年の40年間で、全世界株式の弱気相場は8回あり、下落期間は、2~8ヵ月が5回、16~3ヵ月が3回だった」

 

 

「過去40年間で、全世界株式の強気相場は累計30年程度あり、株価指数は16倍以上に成長している」

 

 

「1978~2019年で米国の景気後退は6回あり、その5ヵ月~2年半前に必ず金利の逆イールド現象が発生している」

 

 

「コロナショック時のS&P500の下落期間はわずか1ヵ月ほどで、過去100年間の弱気相場の中で最短だった」

 

 

「日経平均のPBR(加重平均)の下限は、歴史的暴落で0.8倍台、数年おきの暴落で1倍が目安になる」★

 

 

「リーマンショック前夜の日経平均PBRは1.5倍と高めだったから、その後の下落率は50%弱と苛酷を極めた」★

 

 

「日経平均のPERが60倍を超えていた昭和のバブル期と、PERが12倍程度の令和の日経平均株価を比較して、日本株は成長していないと結論付けるのはナンセンスだ」

 

 

「投資のリターンを吟味する際は、切り取る期間や為替影響によって、真逆の結論が導き出される点に注意しなければならない」

 

 

「直近60年間のTOPIXとS&P500のリターンを円建てベースで比較すれば、TOPIXの方が圧倒的に上回っている」

 

 

「日経225採用企業群の一株当たり純資産(BPS)は長期的に右肩上がりを続けているため、日経平均株価の理論値がいずれ4万円を突破することは疑う余地がない」★

 

 

「『日本株は儲けにくい』という思い込みは、投資の本質を理解していない人達の思い違いにすぎない」